壁紙に落書き!原状回復費用を請求できる?
入居者の方が退去される際、入居者(借主)には、「原状回復義務」と呼ばれる退去時の義務があります。
では、入居期間10年の借主が退去することになり、立会いをしたところ、壁にお子さんが油性マジックで描いた落書きが。
壁紙の張り替え費用を請求できるでしょうか。
答えは
・「落書き」 の壁紙張り替え費用は借主負担となります
・今回のケースは、北側の壁の壁紙の張り替えにかか る 「人件費のみ」 を借主に請求できます
「落書き」 のクロス張り替え費用は借主負担となる
裁判所は、原状回復義務について、「賃借人の故意または過失や通常の使用方法に反する使用など、賃借人の責めに帰すべき事由による住宅の損耗があれば、賃借人がその復旧費用を負担する。」という考え方をとっています。
今回の落書きは、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」 (ガイドライン)では、お子さんの落書きは 「特別損耗」に区分され、 その修繕費用は借主が負担することなっています。
請求できる費用は?
ガイドラインでは、原状回復費用の金額の算定について、次のように書かれています。
「賃借人の負担については、建物や設備等の経年変化を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させることとするのが適当である。」
これはどういう意味かというと、壁紙は時間が経つにつれて価値が下がっていき、6年経過する と1円になるとされています。
そうすると、今回は入居期間10年なので、1円しか請求できないようにも見えます。
もっとも、経過年数によって価値が減っていくのは、 あくまで壁紙そのものです。
ガイドラインには、たとえ残存価値がゼロでも、まだ使える設備等を破損したような場合は、元の状態に戻す費用を負担しなければなりません。
具体的には、落書きを消したり、壁紙を張り替えたりする作業をする職人さんの工事費や人件費等については、別途請求する ことができると定められています。
全面張り替えたいけれど・・・
落書きが壁の一面だけにあるような場合、「どこまで直すのか」が争いになることがあります。
落書きされた面だけ壁紙を張り替えると、他の面と色目等が合わない場合があるため、 家主としてはできれ ば四面全てを張り替えたいと考えるのが通常ですが、ガイドラインは、「張り替えが明確に判別できるような状態」であれば、その壁一面のみの張り替えを借主に負担させることが妥当としているので、注意が必要です。
最後に
退去時の原状回復は入居時に結んだ契約書や国交省のガイドラインに定められた内容に沿ったものになっている必要が有ります。
トラブル防止のためにも、ガイドライン等良く理解しておく必要がありますね。
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