不動産所得が赤字のとき、他の所得との損益通算は可能か?
給与所得と損益通算はできるか?
毎年黒字だと良いのですが、こんな質問が。
ポイントは
・「土地の取得に要した借入金の利子」 は、損益通算の対象外!
・ただし土地と建物を一つの契約で同じ人から取得したときは、特例により借入金を建物価額に優先充当できる。
不動産の損益通算とは
損益通算とは、不動産所得など、ある種類の所得において赤字が発生した場合に、給与所得の黒字や事業所得の黒字から、不動産所得の赤字を控除することです。
ちなみに、不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を差し引いて計算します。
対象外は?
不動産所得の金額の損失のうち、次に掲げる損失の金額は、損益通算の対象となりません。
■不動産所得の金額の計算上必要経費に算入した土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額
不動産所得の損失のうち 「土地の取得に要した借入金の利子」 に相当する金額は、 損失が生じなかったものとみなされます。 つまり、 損益通算の対象外となりますので注意が必要です。
例えば、不動産所得の損失100万円、 そのうち土地の取 得に係る借入金の利子20万円の場合、 損益通算できる金額は80万円のみとなります (100万円-20万円)。
■別荘等のように主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産の貸付けに係るもの
等があります。
中古物件を購入 借入金の充当は土地?建物?
例えば、中古物件を自己資金+借入金で購入した場合、 借入金を土地と建物のどちらに充当するかによって「損益通算の対象金額」が変わってきます。
<例>
物件価格 8000万円
(土地 5000万円、建物 3000万円)
自己資金 2000万円
借入金 6000万円の場合
●土地建物の取得価額に応じて借入金部分を接分して充当すると、
借入金の額×土地の取得価額/取得価額の合計=土地の借入金部分
6000万円×5000万円 / 8000万円=3750万円
●土地建物を一つの契約により同じ人から譲り受けた場合、 借入金部分は優先的に建物の取得に充当することが認められています。
この方法を使うと、土地の取得に充当する借入金が少なくて済むため、 損益通算の対象外となる利子も抑えられます。
借入金の額ー建物の取得価額=土地の借入金部分
6000万円ー3000万円=3750万円
「国外中古建物による損失」の取り扱いとは?
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