所得金額が2,000万円を超えたときの「財産債務調書」の提出義務について
ご相談内容
私は不動産賃貸業を営んでいます。
前回の確定申告 (令和2年分) の際は、 所得金額が2,000万円以下だったため「財産債務調書」を提出する必要はありませんでした。
今回 (令和3年分) は2,000万円を超えるのですが、「財産債務調書」の提出が必要でしょうか。 提出の基準や記載方法など、「財産債務調書」の内容についても教えてください。
どんな人が対象となるのか?
「財産債務調書」は、適正な課税の確保のため、一定の基準を満たす人に対して提出が義務付けられています。 対象となるのは、次の① ② を両方とも満たした人です。
① 所得基準所得金額が2,000万円超。
② 資産基準 総資産3億円以上、または、有価証券などの国外転出特例財産1億円以上。
② のもととなる財産の価額は、その年の12月31日における「時価」または「見積価額(その財産の取得価額や売買実例価額など)」となります。
ご質問のケースでは令和3年12月31日における時価が基準となりますが、 財産によっては時価が容易に把握できないものもあると思います。 その場合、土地建物につい ては固定資産税評価額を、建物については減価償却後の 未償却残高などを「見積価額」とすることが認められていますので、ご参考にしていただければと思います。
「財産債務調書」の記載方法
財産債務調書には、財産や債務の種類・数量・価額・所在・ 用途(事業用、一般用など) ・ 銘柄 (有価証券の場合) などを詳しく記載する必要があります。
国税庁のホームページには、記載例が掲載されています。 調書の様式もダウンロードすることが可能です。 「財産債務調書、様式」で検索してみてください。
提出の有無や記載内容により、 インセンティブが設けられている
財産債務調書の適正な記載と提出を促進するために、提出の状況や記載内容などによってインセンティブ (過少申告加算税・無申告加算税の加重、 軽減措置) が設けられています。 具体的には次の通りです。
●加算税5%が課されるケース
財産債務調書を期限内に提出しない場合、 または期限内に提出したが財産や債務の記載もれがあり、その結果所得税の申告もれが生じた場合。
■加算税が5%軽減されるケース
財産債務調書を期限内に提出した場合であって、 記載した財産や債務に関して所得税 相続税の申告もれが生じたとき。
詳しくは税理士におたずねください。
Point!
・ 財産債務調書の提出要件は、「所得2,000万円超」かつ「総資産3億円以上or国外転出特例財産1億円以上」
・提出期限を守らない場合や申告漏れがあったときは、 加算税5%が課される!
ひらかわ・しげる 1981年中央大学商学部卒業。税理士・税理士法人平川会計パートナーズ代表。同事務所は不動産・相続税制のスペシャリスト集団として高い評価を行けている。
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