「賃貸住宅管理業法」全面施行の2つのポイントとは?
2022年6月15日に賃貸住宅管理業法が全面施行されました。
これは、「不適切な管理業者から賃貸オーナー様を守る」ために制定された法律です。
なぜこの法律が制定されることになったのか、この法律の施行によって、オーナー様の業務に影響があるのかについてご紹介いたします。
「賃貸住宅管理業法」制定の背景は?
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下、賃貸住宅管理業法)は、2021年6月に施行され、
①賃貸住宅管理業の登録制度 と
②サブリースの適正化 の2つの柱から成ります。
制定の背景には、単身世帯や外国人居住者の増加などにより、賃貸住宅が生活の基盤として重要度を増してきていること、賃貸オーナー様の高齢化や兼業化によって、管理業者を利用する方が増えていることが挙げられます。
法律の制定によって賃貸住宅における良好な居住環境を確保し、不良業者を排除することで、健全な市場の発展を目指すものです。
ポイントその1「賃貸住宅管理業の登録制度」とは?
賃貸住宅管理業法では、管理戸数200戸以上の管理業者は国土交通大臣への登録を義務づけました。
これにより、過去に賃貸住宅管理業の登録を取り消されてから5年以内の個人や法人は登録できない等、登録に一定の条件が設けられたほか、賃貸オーナー様と管理契約を締結する際には、重要事項を説明すること等が求められます。
2021年に法律が施行されてから1年間は登録の移行期間となっていましたが、2022年6月15日に終了し(=全面施行され)、これ以降に未登録で管理業を営んだ場合には罰則が科せられることになりました。
これによって、不適切な管理業者を市場から排除することを目指しています。
ポイントその2「サブリースの適正化」とは?
サブリースとは、建てたアパートを一括して業者が借り受け、借り受けた業者が入居者へ転貸する契約方法です。
家賃保証があることや、入居者募集や入居者間のトラブルといった管理業務は業者が行うので、オーナー様の負担が少ないことが特徴です。
ただ、サブリース契約ではオーナー様が貸主、業者が借主となり、借地借家法で定められた「借主保護」の原則により、業者が保護されやすい仕組みになっています。
これにより、「業者からの借り上げ賃料の減額を拒否できないこと」「オーナー様からの契約解除は非常に困難であること」「業者側からは中途でも解約できること」といったデメリットも存在します。
以前より、これらのデメリットを正しく伝えずに不当な勧誘を行ったり、誇大広告を行う業者と賃貸オーナー様との間でのトラブルが問題となっていましたが、この法律によって、「誇大広告・不当な勧誘の禁止」「契約前、契約時に契約内容を書面で説明すること」が義務付けられました。
最後に・・・
賃貸住宅管理業法の目的は、不適切な管理業者から賃貸オーナー様を守ることです。賃貸住宅管理業の登録制度によって、賃貸オーナー様にとっては、法律やルールを守っている管理業者が明確になりました。
賃貸住宅管理業法のもう一つの柱であるサブリースの適正化は、多くのトラブルを受けて法整備がされた背景があります。
サブリース契約を検討される場合には、メリット・デメリットの双方について、納得のいくまで説明を受けた上でご判断されるのが良いでしょう。
私どもでは、これまで約37年、賃貸管理業務を通して、オーナー様をサポートしてまいりました。大切な賃貸物件の維持管理について、なにかお困りごとがございましたら、ぜひお気軽にお声がけください。
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