遺言作成を考えています。作成費用は?
ある賃貸オーナー様より、相続するご家族にトラブルなく今後の生活を送ってほしいとのお考えから、遺言作成についてご相談を受けました。
遺言は自分の財産について、「誰に」「何を」残したいのかというご意思を示すもので、自身で作成する方法や、専門家に依頼する方法などがあります。今回は、代表的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」についてご紹介いたします。
手軽にできる自筆証書遺言
本人が手書きすることが重要で、病気や怪我などであっても、代筆や添え手による補助を受けて書いたものは原則として無効と判断されるほか、書き方のルールが守られていない場合も無効となる可能性があります。また、遺言作成後も相続人による紛失・破棄、焼失などの危険性があります。
紛失や破棄、改ざんといったリスクを防ぐため、令和2年より、遺言者が遺言書を法務局へ預けて保管を依頼する「自筆証書遺言保管制度」という制度が始まりました。保管料は1通につき3,900円(令和4年11月現在)です。この制度は相続人にもメリットがあるもので、遺言者の死後に遺言書を家庭裁判所に提出し、内容を確認する「検認(遺言書の内容を明確にし、偽造・変造を防止する手続き。この手続きを経ないと登記の名義変更等、遺言の執行ができない。)」が不要になります。
通常、検認には申し立てに必要な書類を準備する期間も含めると数か月かかりますので、この手続きを削減できるのは、相続される方の負担軽減にもなるでしょう。
専門家に依頼する公正証書遺言
一方、公正証書遺言とは、公証人という専門家に遺言の作成を依頼するもので、非常に強力な証明力があります。
公証人がチェックするので、自筆証書遺言のように不備が発生することは少なく、遺言の内容に法的な問題点などがあればアドバイスもしてくれます。作成された遺言は公証役場で半永久的に保管されるため、紛失しても再発行が可能です。
ただ、作成には公証人に加え2名の証人に遺言内容を伝える必要がありますので、内容によっては作りにくいケースがあるでしょう。また、作成費用が数万~数十万円かかる場合もあることは、ハードルが高いと感じるかもしれません。
公正証書遺言の場合は、万が一、お身体の自由が利かなくなってしまった場合にも、公証人が自宅や病院、施設等へ出張し、遺言を作成してもらうことが出来ます。また、公証人に内容を手話や筆談によって伝えることも認められていますので、自筆証書遺言に比べ、制約が少ないと言えます。
お考えや状況に合わせて、遺言の方法をお選びいただければと思います。
ケース・内容に応じて選びましょう
自筆証書遺言の場合は「手書き」であること、自筆証書遺言保管制度を利用するのであれば、遺言者ご自身で法務局へ「出向く」必要があります。手軽な半面、本人がやらなければならない作業が多いということは気に留めていただければと思います。
賃貸オーナー様であれば、ご自身がなくなった後の物件の管理についてお考えになる場面があるかと思います。大切なご資産について、弊社でサポートできることもございますので、お気軽にご相談頂ければと思います。
関連した記事を読む
- 2024/11/08
- 2024/10/25
- 2024/10/10
- 2024/09/30