相続等にかかる登記費用の扱いは?
今回は、相続に関連する固定資産税の取り扱いについてお話しします。
お客様から「親が亡くなり賃貸マンションを相続したが、不動産所得を計算する上での相続登記費用の取り扱いについて。
また、本年分の固定資産税は親と自分、いずれの必要経費とすべき?」といったご質問をよくいただきます。
そこで、相続した賃貸物件の登記費用と固定資産税の取り扱いについて、優しく解説します。
登記費用の取り扱いについて
まず、登記費用とは、不動産を相続した際に名義変更を行うための費用です。
この費用が不動産所得の必要経費として計上できるかどうかについて、以下のポイントを押さえておきましょう。
不動産所得の必要経費
不動産所得の必要経費は、原則として家賃収入などを得るために直接かかった費用の額とされています。ここで重要なのが、相続や贈与によって資産を取得する際の登記費用の取り扱いです。
過去の取り扱い
平成16年までは、相続や贈与によって資産を取得する際に支払われる登記費用などは、必要経費ではなく家事費として扱われていました。このため、家賃収入などの不動産所得の計算上、登記費用を経費として計上することはできませんでした。
平成17年の最高裁判決
平成17年2月に、相続や贈与により取得した不動産の登記費用が譲渡所得の計算上、取得費として所得金額から控除できるという最高裁判決が下されました。これにより、登記費用の取り扱いが見直されました。
平成17年以降の取り扱い
平成17年以降、相続などにより取得した賃貸用不動産にかかる登記費用は、不動産所得の計算上、必要経費として認められることとなりました。
これにより、相続した賃貸物件の登記費用も不動産所得の必要経費として計上できるようになりました。
固定資産税の取り扱い
まず、納税者が年の途中で亡くなった場合、相続人は被相続人(亡くなった方)の1月1日から死亡した日までの所得について、相続開始を知った日の翌日から4ヵ月以内に準確定申告および納税を行う必要があります。
この際、被相続人の必要経費となるのは、被相続人が亡くなった時点までに納付すべきことが具体的に確定したものです。
納税通知書が届いていない場合
親御さんなど被相続人が亡くなったときに、固定資産税の納税通知書が届いていない場合、その固定資産税は納付すべきことが具体的に確定していないため、被相続人の必要経費にはなりません。この場合、その不動産にかかる固定資産税は相続人であるご自身の必要経費となります。
納税通知書が届いている場合
一方、被相続人が亡くなる前に固定資産税の納税通知書が届いていた場合、その年分の固定資産税の取り扱いは次のいずれかとなります。
1.その年分の全額を被相続人の必要経費とする
2.死亡時までに納期が到来していた分を被相続人の必要経費とする
3.生存中に実際に納付した金額を被相続人の必要経費とする
残りの金額があれば、それは相続人の必要経費となります。
ポイント!
■相続にかかる費用登記は、必要経費に算入される。
■固定資産税の納税通知書が届いていない場合は、相続人の必要経費となる。
具体的な状況に応じた取り扱いについては、税理士に相談することをお勧めします。
不動産相続に関するご不明点やお悩みがございましたら、当社までお気軽にお問い合わせください。
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