もし置き配の荷物を盗まれたら・・・オーナーに管理責任はあるのか?
「置き配」の荷物を盗まれた場合、オーナーの管理責任
賃貸アパートの入居者から、コロナ渦ということもあり配達員と直接顔を合わせるのは避けたいので、玄関前への置き配を利用したいとの相談が増えています。
置き配の荷物を盗まれた場合、オーナーが管理責任を問われるのか心配ですよね?
大きなトラブルとならないように、どのような対応をすればよいのでしょうか?
☆ポイント☆
・原則として、オーナーには「入居者の財産を盗難などから保護する義務」はありませんが、ケースによってはオーナーの管理責任が問われることもあります。
・盗難の苦情をきっかけに、鍵の交換や防犯カメラの設置など防犯対策を進めましょう。
・万が一盗難の被害にあった場合、火災保険の特約には盗難に対応できる商品もあるので、保険代理店に相談しましょう。
それでは詳しくお話していきます。
「置き配」需要の急増
近年、新型コロナウイルス蔓延による新しい生活様式で非対面需要が高まり、ネットショッピングやフードデリバリーなどの「配送サービス」への需要が大きく増加しています。
また、配達員が荷受人(入居者)と接触せずに購入者があらかじめ指定した場所(玄関前、置き配バック、宅配ボックス、車庫等)に荷物を置いておく、いわゆる「置き配」の利用が急増しています。
「置き配」利用者(入居者)が不安に思うこと
置き配利用者(入居者)は不在時でも商品を配達してもらえるというメリットがある一方、「荷物が盗まれるのではないか・・・」と不安に思う方が多いかと思います。
賃貸マンション・分譲マンションへの宅配ボックス設置率は高い傾向にありますが、賃貸アパートへの宅配ボックス設置率はまだまだ低いです。
原則、オーナーに管理責任はない
過去の裁判例の中には、入居者が「ビルの管理に問題があったためにピッキングの被害に遭った」として、 家主に対して損害賠償を請求した事件もあります (東京地 裁平成14年8月26日判決)。
裁判所の判断は、「家主は建物や居室の貸主として、入居者に物件を使用させる義務等を負っているものの、入居者の財産を盗難などから保護しなければならないという義務までは当然に認められるものではない」というものでした。
ただしこの判決では、防犯について、 ① 特に家主の責任を重くするような特約が結ばれている場合や、② 以前から盗難被害が頻発していたにもかかわらず、家主が何も対策をしていないような場合には、管理責任が問われる余地を残しています。
オーナーの管理責任が問われるケースとは?
この裁判例を踏まえると、例えば募集チラシに「防犯対策アパート!」などとうたい、防犯に力を入れていることをアピールしたり、警察からオーナーに対して置き配被害が報告され、注意を促されているような場合には、管理責任が認められる可能性もあります。
したがって、 安直に「防犯」を売りにすることは避けた方が望ましいです。
オーナーの防犯対策
入居者から盗難の苦情を受けたときオーナーの防犯対策として、以下がオススメです。
・鍵の交換
・防犯カメラの設置
・宅配ボックスの設置等
併せて、契約書に「置き配の荷物が紛失しても貸主は一切責任を負わない」旨の文言を入れておくことも一手です。
まとめ
原則として、オーナーが管理責任を負う必要はありませんが、今後のために防犯カメラの設置等の防犯対策を進めておきましょう。
★入居者に認識してもらうこと★
置き配利用による荷物の盗難は入居者の自己責任です。
置き配は便利な一方、「盗難被害にあう可能性がある」というリスクを認識したうえでの利用が大切です。
また置き配バックの利用や長期不在時の利用は避けることにより、置き配トラブルを回避することもできます。
万が一盗難の被害にあった場合、火災保険の特約には盗難に対応できる商品もあるので、保険代理店に相談しましょう。
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