高齢者の入居者との賃貸借契約で注意することは?
賃貸オーナー様の所有する単身用物件へ、70代の方からの入居申し込みがありました。受け入れる方向ですが、今までの入居者より年齢が高いことを少し気にされているご様子でした。
もしも入居中にお亡くなりになった場合、ご家族へのご連絡や家財道具の片付けやなどは、オーナー様が行うのでしょうか?対応や制度についてまとめました。
契約のときから準備を始めましょう
一般的な賃貸借契約の場合、ご入居者様が亡くなったとしても契約は終了せずに相続人に引き継がれ、家賃の支払債務も相続人に継承されることになります。
そのため、万が一への備えとして、賃貸借契約の段階で ①将来、相続人になる親族の有無、②いらっしゃる場合にはその方の「住所」「連絡先」「連絡手段」をあらかじめ確認しておくのがよいでしょう。
契約者が亡くなったからといってオーナー様が相続人に無断で家財道具の処分や、原状回復工事をしてしまうとトラブルになります。この点には注意が必要です。
相続されない賃貸借契約もあります
一方、「賃借人が死亡することによって賃貸借契約が終了する」という、相続の対象にならない契約(終身建物賃貸借契約)も存在します。相続者との契約解除手続きを行わないため、次の契約に向けた準備が行いやすくなるメリットがあります。
賃借人の居住の安定を図ることを目的に創設された制度であり、この契約を結ぶためにはオーナーが対象となる物件に対し、都道府県知事の認可を受けておく必要があります。
認可の基準には、対象物件が一定のバリアフリー基準(手すりの設置等)を満たしていること等が挙げられますが、2018年以降に認可に関わる要件が緩和されたので、活用についてご検討いただくのもよいでしょう。
認可を受けた賃貸住宅は、高齢者以外の方を普通借家契約等で入居させても差し支えないとされています。「高齢者専用物件」としなくてもよいこともメリットといえますね。
既存物件で認可を受ける場合には、バリアフリー工事などの費用は発生しますが、今後の高齢化社会を見据えた取り組みとして、導入についてお考えいただくのもよいかもしれません。
入居者自身にも準備をしてもらいましょう
今まではオーナー様の対応についてお伝えしてきましたが、入居者自身に準備してもらう方法もあります。
具体的には、入居者自身が親族や居住支援法人などと委任契約を結んでもらい、①賃貸借契約の解除、②残置物の処分、③遺品の送付などを委託しておく方法です。詳細は国土交通省のサイトに「残置物の処理等に関するモデル契約条項」として紹介されていますので、参考にしてみてください。
※委任契約の際には、入居者の利益が図られないおそれがあるため、家主が受任者になることは避けた方がよいとされています。ご家族などにお願いするのがよいでしょう。
最後に・・・
単身のご高齢者を初めて受け入れるのであれば不安があるかもしれませんが、制度の利用によって心配を解消できれば、ご自身の賃貸物件をより生かすことも可能です。今後も高齢化は進行することが予測されています。高齢化社会との付き合い方の一例としてご紹介させていただきました。ご参考になれば幸いです。
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