家賃保証会社の立て替えがあっても契約解除は可能?
ある入居者が家賃を3ヵ月滞納し、家主が退去を求めたところ、入居者から「家賃は家賃保証会社が立て替えているので、家主に損失はない。だから契約解除はできない」と反論されるケースがありました。
家賃保証会社が立て替えているからといって、賃貸借契約を解除できなのでしょうか?
「信頼関係破壊の法理」と賃貸借契約の解除について
建物や居室の賃貸借契約は、家主(貸主)と入居者(借主)との個人的な信頼関係を基盤として長期間にわたって交わされる重要な契約です。
借主にとっては生活の基盤を支えるものであり、契約違反があっても、信頼関係が完全に破壊された場合でなければ、契約を解除することはできません。
これを「信頼関係破壊の法理」と呼びます。
『信頼関係破壊の法理とは?』
最高裁判所の判例(1953年9月25日)では、たとえ家賃の滞納などの契約違反があったとしても、それが信頼関係を破壊するほど重大でない場合は、家主が契約を解除することはできないとしています。
例えば、一度の家賃滞納は債務不履行に該当しますが、それだけで信頼関係が崩壊したとまでは言えないため、家主は簡単に契約を解除できないのです。
家賃滞納が3ヵ月続いた場合は?
一方で、家賃が3ヵ月にわたり滞納され続けると、状況は変わります。
入居者が家賃を長期間支払わない場合、家主との信頼関係が破壊されたと見なされることが多く、契約解除の正当な理由となります。
たとえ家賃保証会社が家主の損失を補填していたとしても、入居者自身が家賃を滞納している事実は信頼関係を損なう要因となります。
実際、大阪高等裁判所や福岡高等裁判所の判例でも、家賃保証会社が立て替えた場合でも、家主が契約を解除できると認められたケースがあります。
信頼関係の維持が困難であると判断されたためです。
信頼関係の破壊がポイント
家賃の滞納が一度であれば、契約解除は難しいですが、滞納が長期間に及び信頼関係が破壊された場合、家主は契約を解除する権利を持ちます。
家賃保証会社による立て替えがあっても、入居者が滞納を続ける限り、信頼関係が破壊されたと判断されることがあります。
賃貸借契約を解除する際には、家主と借主の信頼関係が保たれているかが重要な判断材料となります。
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