不動産の「事業的規模判定」と「青色事業専従者給与の扱い」
賃貸アパート・マンションの事業規模とは?
不動産所得では事業的規模としてみとめられると、青色申告で65万円の特別控除などを受けられます。
その事業的規模と認められる基準は次の通り
アパートやマンションの場合、独立した室数がおおむね10室以上
貸家では5棟以上
駐車場の場合は明確な基準はありませんが、駐車場は5台分でアパート1室とされていますので、50台以上ということになります。
共有名義のマンションの場合、全室対象とできる?
では、夫婦で全16室のマンションを、持ち分2分の1ずつ保有している場合には、事業的規模を判定する際、全16室が対象となるのか、按分して対象になるのでしょうか?
もし按分して判定するとなれば、16室 (全体の部屋数) ×1/2(各人の共有持分)=8室 (按分後の部屋数) ということになり、 一人当 たり10室未満、事業的規模となりません。
しかし、実際には、按分しないで全体の部屋数16室を基準にして差し支えないとされています。
つまりご夫婦ともに10室以上と判定され、「事業的規模による貸付け」に該当することになります。
青色申告と青色事業専従者
青色申告であれば家族への給与をすべて必要経費とすることができるので(ただし、適正な給与金額である必要がある)、その分所得を減らすことができて節税効果が期待できます。
では、マンションの管理や経理全般を同居する娘に任せていて、 娘への青色事業専従者給与を夫婦(夫と妻)から別々に支払うことはできるか?
青色事業専従者給与として認められる要件は
「青色事業専従者」とは、次のいずれにも該当する個人をいいます。
① 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族
②15歳以上(給与を受けた年の12月31日現在)
③ 年間で6ヵ月を超える期間、青色申告者の事業に専ら従事している
娘さんの給与については、青色事業専従者給与として必要経費に算入するためには、税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。
しかし、今回は①と②はクリアしていますが、③については、仮に娘さんが事業に1年のうち6ヵ月を超えて従事したとすると、妻の事業に6ヵ月を超えて従事することは不可能となります。
したがって、夫婦いずれか一方の「青色事業専従者」にしかなれませんので注意が必要です。
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