生命保険で契約者が違う。死亡保険金の税法上の取扱いについて
生命保険に加入する際には、その保険金の受取人として必ず誰かを指定します。
受取人を誰にするかによって、保険金にかかる税金の種類が変わり、最終的に手元に残る保険金の額も変わってきます。
では、このような時はどうなるのでしょうか?
■父が亡くなったことに伴い、3つの生命保険の死亡保険金を一時金で受け取りました。
3つの生命保険の契約者(保険料の負担者) は、それぞれ 父、母、息子です。
このように契約者が異なる場合、受け取った死亡保険金にはすべて相続税が課税されるのか?
答えは
被保険者 = 契約者の場合 ⇒ 「相続税」
契約者 = 受取人の場合 ⇒ 「所得税」
三者すべて異なる場合 ⇒ 「贈与税」
※契約者とは、保険会社に契約の申込みをして保険料を支払う人で、契約の当事者
被保険者とは、保険の補償を受ける人または保険の対象になる人です。
被保険者 = 契約者の場合
契約者と被保険者が同じ人
※契約者:父 被保険者:父 受取人:子
この場合、受け取る保険金にかかる税金は「相続税」となります。
一般に生命保険の死亡保険金は保険契約に基づく受取人固有の財産であるため、 相続税の対象となりません。
しかし例外として、保険料を負担していた人(以下、契約者といいます)が被相続人だった場合は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
なお、保険金は遺された家族にとって重要な生活資金となるため、500万円×法定相続人の数が非課税となります。
▽計算式
死亡保険金額-500万円×法定相続人の数=課税対象の金額
保険金から非課税額を引き、残った金額が相続税の課税対象です。
契約者 = 受取人の場合
契約者と受取人が同じ人
※契約者:父 被保険者:子 受取人:子
この場合、受け取る保険金にかかる税金は「所得税」となります。
死亡保険金を一時金で受け取った場合 は「一時所得」という扱いになります。
▽計算式
(死亡保険金額+配当金-払込保険料総額-特別控除50万円)×1/2=一時所得の課税金額
三者すべてが異なる場合
例)契約者:A(夫) 被保険者:B(妻) 受取人:C(子)
契約者と被保険者が異なり、契約者以外の人が保険金を受け取る保険金にかかる税金は、「贈与税」となります。
死亡保険金額から、基礎控除額である110万円を引いた金額が、課税所得となります。
▽計算式
死亡保険金額-110万円(基礎控除)=課税所得
なお、贈与税の基礎控除は、1年間にもらった財産の合計額から差し引くものであり、一つの保険の死亡保険金以外にも個人から財産をもらった場合には、その合計額から110万円を差し引く必要があります。
1年間にもらった財産の合計額が110万円以下の場合には、贈与税はかかりません。
年金で受領する場合は?
それぞれのケースにおいて、一時金ではなく年金で受領する場合は別の扱いになるので要注意です。
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