コロナ禍で、入居者ニーズはどう変化しているのか?
●マーケティングのプロが分析! 2022年引っ越しシーズンの傾向と対策
引っ越しシーズン到来! コロナ禍の中、今、賃貸オーナーに求められる対策とは? 部屋探しの現場で集めた最新データから見えてくるものとは? 賃貸市場の動向に詳しい齊藤氏に読み解いていただく。
仲介会社が現場で感じた 「入居者ニーズ」とは?
2022年春の引っ越しシーズンは、オー ナー様がコロナ迎える実質2度目の 「繁忙期」となります。
感染状況は21年秋頃から落ち着きを見せており、観光地や繁華街にも活気が戻りつつありますが(21年 11月現在)、果たして賃貸市場はどうでしょう。
私の会社は、オーナー様と管理会社が抱える課題をマーケティングで解決することを目指しています。
事業内容は市場調査と分析、営業支援、コンサルティングなど多岐にわたりますが、その一つに、日々入居者と接している仲介会社への訪問調査があります。
今回は首都圏一都三県および大阪市の仲介会社(486社)を対象とした「新型コロナウイルスの賃貸不動産マーケットへの影響調査」の結果をもとに、入居者ニーズの変化と特徴についてお話しします。
空室対策を検討する際のご参考になれば幸いです。
「2022年の繁忙期」はどうなる!
まず、22年の繁忙期の全体的な傾向について見ていきます。
●テレワークを想定した部屋探しが増加中
20年の第1回緊急事態宣言以降、テレワークを導入する企業が一気に増えました。
そこで21年の繁忙期にテレワークを想定した部屋探しをする入居者が増えているかどうかを尋ねたところ、「増えて続けている」と回答した仲介担当者が72.9%でした(図1参照)。
この傾向は22年の繁忙期も続くと見ています。
●我慢していた人たちが動き出す!
21年は、社会全体にコロナへの強い警戒感が広がり、人の移動も限定的でした。
そのため、引っ越ししたいと思っても「コロナが落ち着くまで待とう」と我慢した人も少なくありませんでした。
22年春はこのような潜在的な需要が解き放たれ、昨年より市場が活発になると予測されます。
●コンロなしのキッチンでも即成約!
ただし、コロナ禍で入居者の意識は大きく変化しており、その影響は部屋選びにも及んでいます。
詳しくは後述しますが、 象徴的な例をご紹介します。
ある大手デベロッパーが企画した都心の新築ワンルームマンションは、なんとキッチンにコンロのスペースがなくシンクと高性能電子レンジだけ。その分居室を広く取り、壁にデスクとしても使える棚を設置したところ、募集後1週間で成約! コロナ禍でテレワークやフードデリバリーが一般的になったからこその企画といえます。
●「週5日フル出勤」に戻ったが・・・
感染状況が落ち着き、「週5日フル出勤」を再開した人居者も増えています。
しかし、テレワーク中に部屋への不満を感じた人は、出勤するようになってもそれらを踏まえた部屋選びをすると思われます。
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