9:00~17:00
毎週水曜日・祝日
2021年11月20日
不動産コラム

事例紹介「父の物件」を私はこうして守った!

●対策着手から16年、円満相続までのプロセスを紹介!

土地を守り、子孫に引き継ぎたいと考えるオーナーは多い。だが、相続の際に分割売却を余儀なくされるケースも少なくない。大木氏は長男として家族をリードし、1年かけて円満相続を実現。成功の理由とは?


三代目オーナーとして

 一般に不動産の相続は、分割のしにくさからトラブルになりやすいといわれています。中には相続税の支払いのために、やむをえず先祖代々の土地を切り売りしなければならないオーナー様もおられると思います。

 私は祖父の代から新宿で賃貸経営を行う家の長男です(姉、妹、弟がいます)父から880mmの土地とそこに立つ6棟4室の賃貸住宅を相続して1年になります。
 「大木家代々の土地を守りたい」という思いから、父と協力して対策を講じ、不動産を分割せずに円満相続することができました。

 今回はその体験をお話しします。何か一つでもこれから相続対策を始められる方へのヒントになれば幸いです。


 

きっかけは、母の死

 私が相続対策に着手したのは38歳の時。きっかけは母の死でした。母は専業主婦でしたが 意外にもまとまった現金を遺したため、遺産分割が必要になったのです。 

 相続人は父と子供4人(図1参照)。私はこの時、「いずれは父の相続も発生する。 両親の対策をセットで決めておけば、よりよい選択ができるのではないか」と考えました。

 よりよい選択とは、父の土地・建物を分割することなく一人が相続し、それを皆が納得できるという形です。常々、きょうだいが4人いるので難しいと思っていましたが、母が現金を遺していたことで光が見えました。早速、自分が土地・建物を相続すると想定して対策を立て始めました。


●「悲しい思いはしたくない!」

 先々を見据えて対策に着手したのは、当時勤務していた住宅メーカーでの経験も影響していました。家を新築・建て替えするお客様と接する中で、何度も聞いたのが「争族」の話でした。「揉めて大変な思いをした」「家族と絶縁状態だ」・・・。

 そんな悲しい思いはしたくない、親が亡くなってからの話し合いでは遅い、という思いが徐々に強くなっていたのです。

遺産分割の流れ

 私が何をどう行ったのかについて具体的にお話しします。からまでを順に行い、約2週間を要しました。

 

①税理士に相続税額を確認

 まず、税理士に依頼して「父の土地・建物の相続税額」を明らかにしました。目的は、自分が相続した場合、預貯金で払えるかどうかを知るためです。払える金額とわかり、「土地や建物を売らなくて済む!」と一安心でした。

 もし、税額が高かった場合は相続までに預貯金を増やそうと思っていました。

②「遺産分割協議書」を作成 

 次に、「遺産分割協議書」を作成しました。この書類は、遺産分割の内容を具体的に記載するものです。最終的には相続人全員が読んで同意し、印を押す必要があります。私は次の分割案を考え、記載しました(図1参照)
 

・母の遺産(現金)は、姉・妹・弟の3人が均等相続。父と私は受け取らない。

・将来の父の遺産のうち現金は、姉・妹・弟の3人が均等相続。私は受け取らない。

・父の不動産と負債は、私一人が相続。

③父に相談

 母の初七日が終わった頃、初めて父に相談をしました。 遺産分割協議書を見せながら、「土地を守りたい」「家族で揉めたくない」という思いとともに分割案を伝えたところ、父からは、「不動産を分けるのは難しいので、長男のお前に譲りたいと思っていた。任せるよ」と言ってもらいました。父自身、長男として相続で苦労したため、すぐに賛成してくれたのだと思います。 

④相続人全員で分割協議をする 

 父と話した1週間後、姉、妹、弟に「おふくろの財産を分けるからハンコを持ってきて」と言って実家に集まってもらい、父同席のもと、前述の分割案を伝えました。 

 母の遺産額については既に皆、知っていたので驚きはなく、不動産を私人で相続することについても、手放しで賛成という感じではなかったものの、「まあ、長男が引き継ぐのがいいのかな・・・」と遺産分割協議書に押印してくれました。

スムーズに進んだ理由として、姉たちに誠意を示すため、母の遺産をあえて現金で手渡ししたこともあると思います。

arrow_upward