賃貸経営に必須!「施設賠責任保険」とは?
●補償の範囲、費用、保険金etc.、オーナーが知っておきたい全ポイント!
保有物件による事故は、賃貸経営の存続をも左右しかねない。オーナーを守る砦として必須といわれる「施設賠償責任保険」。その補償内容とは?オーナーであり、保険のプロとして活躍する柴山氏に解説いただく。
特にオーナー様の中には「もし、自分の物件だったらどのように責任を取ればよいのか?」「リスク対策は今のままで十分なのだろうか?」など、自分事として捉えられた方も多いのではないでしょうか?
私は茨城県筑西市でアパート3棟を保有するオーナーであり、保険代理業に従事する保険のプロでもあります。
今回の事故をきっかけにリスク対策の強化を考えるオーナー様から、「施設償責任保険」 に関するお問い合わせが増えています。
そこで、この保険がどのようなものなのかについてお話しします。
オーナーは「無過失責任」
建物ので事故において、手抜き工事など施工自体に問題がある場合には、当然、建築会社の責任は重大で免れません。
では、所有者であるオーナー様はどうでしょうか?
実は責任を問われるケースがあります。
「土地工作物責任」といって、建物に問題 があった場合は所有者が損害を賠償する義務を負いま (民法77条1項)。
この責任は、オーナー様に落ち度が一切なくても免れることができません (無過失責任)。
ちなみに、オーナー様が不具合を知っていて補修しなかったような場合、責任はかなり重くなります。
施設賠償責任保険とは?
●補償の内容
① 損害防止費用:損害の発生・拡大を防止するための費用(火災の消火に使用した消火器代金など)。
② 緊急措置費用:事故直後の応急措置費用。
③ 権利保全行使費用:オーナー様が他人から損害賠償を受けることができる場合、その権利を保全・行使するための手続きに要する費用。
例えば、八王子の事故のように建築会社にも責任がある場合、同社へ補償を求めるための郵送費や交通費などです。
④ 争訟費用:裁判などにかかる費用(弁護士費用など)。
⑤ 協力費用:事故解決に当たる保険会社に協力する際にかかる費用(オーナー様自身の交通費など)。
⑥ 損害賠償金:被害者に支払う賠償金。
●「補償限度額」の設定は熟慮して
補償される金額の限度(補償限度額)は加入の際、オーナー様が設定します。
限度額の範囲は保険会社にもよりますが、 1000万円~10億円ほどです。
被害者の生命に関わる事故の場合、賠償額が高額になるケースもありますので、 十分な金額設定にすることが重要です。
●保険料は意外にリーズナブル
この保険の特徴の一つは、補償額が大きい割に保険料が安めという点です。
マンション・アパート1棟の場合、数千円(1年間)で済むことも少なくありません。費用対効果はかなり高いといえます。
新築物件の場合、「不具合はないだろうから必要ない」と思われるかもしれませんが加入しておくのが安心です。
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